Thursday, December 23
おやすみ。
に入りますた。といってもレポートが3本もあるんですが・・・まあ、働いている人よりはマシだと思うけど。とりあえず何しよっかなあ。

自衛隊イラク派遣反対ビラ訴訟の判決文を読んでみて

落合弁護士の意見にはげ同。

刑法130条の住居侵入罪について、その保護法益をどう考えるかにつき、いわゆる判例・通説は新住居権説をとっているといわれる。すなわち、住居を誰に立ち入らせ、誰の誰の滞留を許すかを決める自由であるとする。従って、住居権者の意思に反する立入りを「侵入」とするのである。

「刑法一三〇条前段にいう「侵入シ」とは、他人の看守する建造物等に管理権者の意思に反して立ち入ることをいうと解すべきであるから、管理権者が予め立入り拒否の意思を積極的に明示していない場合であつても、該建造物の性質、使用目的、管理状況、管理権者の態度、立入りの目的などからみて、現に行われた立入り行為を管理権者が容認していないと合理的に判断されるときは、他に犯罪の成立を阻却すべき事情が認められない以上、同条の罪の成立を免れないというべきである。」
(最判昭和54・4・8刑集37・3・215)

だからといって、住居権者の意思に反する立ち入りを全て刑事罰によって処罰すべきかどうかはまた別問題であろう。判決のいうように「共同住宅においても,しばしば立入禁止の表示に反して,集合郵便受けや玄関ドア郵便受けに商業的宣伝ビラ,時にはいかがわしい内容が記載されたいわゆるピンクチラシが投函されていることもあるが,おおむね放置されているのが現状」であり、それらを放置していることが望ましいことではないとしても、それらの行為者全てに刑事罰を課することが「自由で開かれた社会」という観点から妥当であるとはいえない。

それを前提とすると、その行為が構成要件に該当し、かつ違法性が相当程度を越えたものについて処罰することになると考えられるが、判決がいうように

「被告人らによるビラの投函自体は,憲法21条1項の保障する政治的表現活動の一態様であり,民主主義社会の根幹を成すものとして,同法22条1項により保障されると解される営業活動の一類型である商業的宣伝ビラの投函に比して,いわゆる優越的地位が認められている。」

かどうかはおそらく議論のある所だが、

「被告人らが立川宿舎に立ち入った動機は正当なものといえ,その態様も相当性を逸脱したものとはいえない。結果として生じた居住者及び管理者の法益の侵害も極めて軽微なものに過ぎない。」

のであるならば、

「被告人らの本件ビラ配布と同様の態様でなされた商業的宣伝ビラの投函に伴う立ち入り行為が何ら刑事責任を問われずに放置されていることに照らすと,被告人らの各立ち入り行為につき,従前長きにわたり同種の行為を不問に付してきた経緯がありながら,防衛庁ないし自衛隊又は警察からテント村に対する正式な抗議や警告といった事前連格なしに,いきなり検挙して刑事責任を問うことは,憲法21条1項の趣旨に照らして疑問の余地なしとしない。」

として

「被告人らが立川宿舎に立ち入った行為は,法秩序全体の見地からして,刑事罰に処するに値する程度の違法性があるものとは認められないというべきである。」

と結論づけた判断は、刑法の謙抑性の観点からも妥当だと思う。
とはいえ、やはり高裁で覆されるんだろうか・・・
Posted by Nayami at 12/23/2004 11:58:00 PM | 0 comments